学会について

医療BSCとは

設立趣旨 

 医療経営を取り巻く環境は大きく変化しており、さまざまな経営課題を分析・整理し、解決策を模索する必要性が高まっています。また効率的かつ効果的な医療サービスの提供が強く求められる時代において、適切な業績管理・意思決定の必要性も高まっています。さらに医療経営環境の大きな変化の下、戦略的な病院経営が強く求められるようになっています。

 医療の質とコストなど多面的な業績を考慮した経営管理・意思決定が不可欠な時代において、多面的な業績管理・意思決定枠組みとしてバランスト・スコアカード(以下:BSC)が期待されています。また定量データに基づく経営管理が不可欠な時代において、医療経営の計器盤としての役割もBSCに期待されております。さらに戦略的な病院経営において、重要な戦略を具体的な経営管理の仕組み(PDCAサイクル)に落とし込んでいくツールとしてもBSCに強い期待が向けられています。

 BSCは1990年代に米国において開発された戦略的マネジメントツールですが、医療界におきましても、米国を中心に導入・活用が進んでおります。これは、病院の組織が、分権化されたサービス単位やチームを通じて運営されており、従業員が創造する無形の知識やサービス、組織能力および人的関係によって競争優位が作られるという認識に立って考えることがより重要となってきているからです。このような背景の下に、BSCは、経営者と従業員とのギャップを埋め、分りやすい言葉(指標)に置き換えて、戦略を機能させることを狙い、「財務の視点」「顧客の視点」「内部ビジネス・プロセスの視点」「学習と成長の視点」をビジョンと戦略とに結びつけ、戦略的経営の立場から組織の業績を総合的に評価し、組織によっては、個人の業績と報酬にも連動させようというものであり、日本のこれまでの総合評価とは一線を画するものです。

 また、BSCが従来の財務データ中心の経営分析と異なる特長として、「顧客の視点」や「内部ビジネス・プロセスの視点」といった、非財務的指標を定量データとして経営管理に適用させることができるため、患者のニーズや品質管理を経営管理システムとして取り入れることが可能となることから、これらを定期的・定量的に評価することで、医療機関自身の経営改善のみならず、患者に対してもより安全で安心な医療提供につながることが期待されます。

 このような中で、これからの医療経営を考えるとき、日本におきましてもこのBSCの手法を理解し、医療経営の実際において正しく導入・活用する必要があります。また、各医療機関がBSCを研究し、その成果を発表し、その結果、BSCの手法が幅広く普及することにより、医療経営の質の向上に大きく寄与するものと期待されます。そこで、BSCに少しでも関心のある方々の共通の議論の場、研究成果、実践成果発表の場として、日本医療バランスト・スコアカード研究学会を発足することになりました。

 日本の医療経営の場面におきまして、BSCに対する期待が高まっている現在、私どもの趣旨に広く共感いただける方々のご参加を切に希望いたします。
日本医療バランスト・スコアカード研究学会
発起人代表 髙橋淑郎
発起人 一同